米国企業などで比較的よく見かける職種に"Business Development"というものがある。
日本ではそのまま当てはまる職種概念がないと思うので、「ビジネス・ディベロップメント」とそのままカナで受け入れるのが良さそうだ。
企業によって職種条件は異なるが、英語版のWikipediaに大雑把な解説が載っている。
http://en.wikipedia.org/wiki/Business_development
もともと確立した定義があるわけではないので、この記述に不満があれば、企業ごとのBusiness DevelopmentやBusiness Manager、Product Managerといった職種の要件を横断的に眺めると言わんとすることが浮かび上がってくる。
ポータブルなキャリア目標としてのビジネス・ディベロップメント
あえてこのようなカタカナ職種にフォーカスしているのは、実力派の若手たちが目指すべきロールモデルのひとつとして有力だろうと考えるからだ。
ビジネス・ディベロップメントは外資企業では比較的応募機会が多いし、ある程度業種を横断できるポータブルなスキルと言える。
総合格闘家のようなものなのでガッツがないとスキルセットを獲得していけないが、一定の水準に達することができれば食いっぱぐれはないだろう。
サバイバル職種としてのビジネス・ディベロップメント
いま、日本は産業の転換期のまっただ中にいる。特に、20世紀後半の高度成長を牽引してきた製造業が同時多発的に停止している。
ただ、実は製造業の衰退は、今回が初ではない。明治以来、日本は、糸へん産業、金へん産業の興亡を経験している。
先日、南千住を歩いているときに、千住製絨所(国営の毛織物工場)跡地に遭遇した。明治時代にはフル操業していた工場も、今やレンガ塀しか残っていない。このような糸へん産業に限らず、コモディティ化が進む製造業は先進国には残ることができない。
それでも日本には古参の繊維商社だけは残っている。商社はビジネス・ディベロップメントに特化した日本特有の業態だと思う。
ビジネス・ディベロップメントは産業の興亡を超えて生き延びるサバイバル職種だと言える。
今後は、家電・デジタル機器・IT製品などが同様の歴史をたどるのではないか。かつて糸へん産業、金へん産業で起こったように、多くの雇用が失われる問題はあるがそれはまた別の話だ。
ビジネス・ディベロッパーは各業種に散在している
ビジネス・ディベロップメント能力が求められる、あるいは養うことのできる業種・職種は具体的には以下のようなものがある。
- ベンチャーキャピタリスト
- 社長・役員
- 商社マン
- 消費材メーカーのブランドマネージャー、マーケター
- 法人ビジネスのアライアンス責任者
- 外資法人のカントリーマネージャー
- 不動産など実物投資を伴うファンドマネージャー
- 小売・サービス業の店長
これらの仕事は割と地道で、中には人気のない職種も多く含まれる。
けっきょくのところ、自分たちを取り巻く未来の環境をどう見るかしだい、ということになるが、しぶとく生き延びていくためにはビジネスはできた方が良い。