創業者をこえて会社が生き延びる条件

2015/05/26

今月は、自分にとって"会社"というものの見方が大きく変わった月だった。

「会社は何らかのタイミングでパブリックカンパニーを目指さなくてはならず、そのタイミングは思っていたよりも早く求められる」ということを強く感じた。

会社は法律上の存在としては法人という。

生身の人間には寿命があるが、法人は自然人の寿命よりも永く生き続ける。
ただし、法人が健康的に存続し続けるためには、パブリックカンパニーであることがどうしても必要だということがわかった。

パブリックカンパニーにも度合いがあるが、理想的には上場企業で、かつ市場流動性が高いほど良い。

このことは逆のケース、つまりプライベートカンパニーやワンマン企業を想像するとクリアになる。持株・持分の割合がある人物に集中している場合、法人でありながら、オーナーという自然人の寿命と強く連動することになる。

マザーズの上場基準が緩いことで、多くの懸念が話題になったが、閉鎖会社にだってそれなりの問題はある。

高度成長期に育ったたくさんの会社が、いま事業承継期を迎えている。事業承継の構造的な問題として、相続と相続税が発生するため、議決権の面でも自己資本の面でも分散し衰微する力がはたらく。

事業の立ち上げ期には、ワンマン経営という一種の"王政"には即断即決という絶対的なメリットがある。ただ、それも英明な君主に権力を集めてこそであって、君主が劣化したり、権限が分散したら途端に威力を失う。

二代目以降をどのように迎えるか、という問題への王道的な解決は「“共和制"に移行して委任フィーで経営者を雇う」ということだと思う。正直、経営者の適任は世の中を見渡しても少ない。

またそのとき、資本は適度に分散し、多数の市場取引の中で健全な価格形成ができていることが、経営安定性の条件となる。流動性が低ければ価格形成がおかしくなり、保有者の期待は自然と下がっていく。

このように考えていくと、作り始めたビジネスが何か普遍的なニーズをとらえ始めたとき、会社の所有形態も Go public が必然になり始める。

起業家は自らのビジネスのライフタイムをあらかじめ見積もり、それが後世に残るものと判断すればその瞬間から脱所有の具体的な段取りも考えなくてはならないのだと思った。

また、そうならないビジネスについては「そんなもの畳んでしまえ」という自己判断になるだろうから、いずれにしてもビジネスオーナーというのは、思ったよりもはかない存在に違いないのだ。

諸行無常とはよくいったものだ。

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