ベンチャーや新規事業は仮説思考がキモだ。
新しい仮説を持てなければ、ためす価値のないビジネスしか生まれない。
ただ現実には、仮説をバリバリ立てていける力を持つ人は少ない。
なぜだろうか?
人は解決策を考えたがる
仮説思考と似て非なるものに、単なる「思いつき」がある。
色々な人と話していて気付くのは、誰しも思いつきのアイディアはたくさん持っている、ということだ。
仮説思考に慣れた人から見ると、思いつきは浅い仮説に見える。
ただ、浅いとか深いとか言っていても仮説思考を得ることはできないだろうから、何が違うのか興味をもって観察を続けてみた。
すると、思いつきのレベルにとどまっている人は「解決策にとらわれている」という共通点があることに気付いた。
“思いつく"のは、決まって世の中に存在しない"新製品"や"新サービス"なのだ。
not A, but “Q”
ここで問題を分かりやすくするために、ビジネスをクイズだと考えて欲しい。
- Q「夜でも明るく過ごすために必要なものは何?」
- A「電気。」
思いつきが解決策にとらわれがちだといったのは、この例では電気にあたるAnswerを直接探すクセがあるということだ。
ただ、現実にはQuestionこそ問題なのだ。
この例で言えば「人間誰しも夜も明るく過ごしたいのではないか?」というのが深い仮説になる。
さらにQとAの違いをはっきりさせるために言うと、アタマを使うべきテーマは「夜暗いことは本当に嫌なことなのか?何がどのように嫌なのか?」を構造化することだ。
なぜAではなくQなのか?
仮説というのは「間違っているかもしれないが、」という意味を強く含んでいる。
つまり物事の大前提を批判的に疑って見ることが、仮説思考の要点だと思う。
Aに注目しているうちは、それが前提とする状況を疑っていないからダメなのだろう。
また、新しいQに対するAはひとつではない。
Aしか考えないようでは、ワンパターンためしてみてダメだからあきらめる、ということになりがちだ。
新規ビジネスの成功要因として挙げられる「しつこさ」や「粘り」というのは適切な"Q"に着目することだと思う。
こういった物の見方は禅でもテーマとして取り上げられてきた。
古来から人間の認知バイアスこそが敵なのだ。
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