認知資産の重要性にもう一度光を。

2015/09/08

もう一度、というよりもそもそも「認知資産」という言葉が知られていないかもしれない。
簡単に言えば、有名であること、人々の頭の中にあるマインドシェアのことだ。

認知資産の形成がビジネスモデルを生む

僕はこれまで何度か創業期の企業立ち上げを手伝ってきた。
創業の時期から組織化を進める段階は、業種や会社が違っても驚くほど良く似たプロセスを導入する。

要するに、チームワークを円滑に進めるワークフローにはそんなに違いがない。

「あの人に倒れられたらヤバい」というようなことをみんな思っているけど、それすら実際はそうでもない。
ちょっと時が経てばメンバーは入れ替わるし、伸びるビジネスなら社員がやめたからどうということはない。

「仕事の手順も属人的な能力もビジネスの根幹ではないな」というように消去法的に経験してくると、最後に残るのが認知資産だ。

マーケティング・ミックスこそ偉大

認知資産を作り上げる活動をマーケティングという。
結局のところ「マーケティングだけできれば何とかなる」感はある。

たとえば看板もマーケティング施策のひとつ。
駅前にずっと並び続けている大きな看板を見るたびに「あぁ、あの看板の方が自分よりよっぽど働いてるよな」とよく思う。

学習塾の看板なら、一人ひとりの講師が駆け出しだろうが、多少の間違いをしようが、売上を守り雇用を守っている。

企業ごとに最適な宣伝・PRの組み合わせがあるとされていて、これをマーケティング・ミックスという。

コトラーが書いた『マーケティング・マネジメント』という大著に書いてある。
なお、『マーケティング・マネジメント』は偉大すぎて、ブックエンドを使わずに立てて置いても倒れない。

誤解されたマーケット・イン

マーケティングは誤解の多い分野だと思う。
世の中で言われていることの中にはそもそも有効でない手法もあるし、その会社のマーケティングにはミックスできない手法もある。

マーケティングが重要だからといって、なんでもマーケット・インすりゃ良いということではない。

たとえば、製品企画に消費者の声を採り入れ過ぎるのは危険だ。
消費者は、不便や困っていることなどの表面的な情報は持っているが、あくまで物づくりはできない。

製品企画については、プロダクトアウト・アプローチの方が適切だと思う。
プロダクトアウトできない会社は提案力・発想力のない会社ということだから、それはそれで苦しい。

一般的な手法を採り入れるなら、マーケティング・コミュニケーションの分野から入る方が無難だろう。

リサーチは検証の必要性が明確化してからで良いと思う。

目立つ努力を欠かさない

マーケティング活動を分解していくと、どのように目立つか?という活動になる。
「今日は昨日より多少なりとも目立つ努力をしたか?」という問いは経営者、アントレプレナーにとっては本質的だ。

知られていくことによってビジネスは成長する。
鉱山を掘ると鉄がたくさん出てくるように、適切な認知の周りにその会社にとって普遍的なニーズが埋まっている。

目立つことによってビジネスを発掘しやすくなる。

そして、継続的に目立った結果が認知資産になる。

ビジネス立ち上げには「明日はこのビジネスは倒れているかもしれない」という可能性が常につきまとう。
認知資産を創っていく挑戦こそ出口に近づく王道だと思う。

他の仕事が立て込んでいても宣伝・PRの投下や改善は一歩ずつ前進し続けることが重要。

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