いま振り返ってみると、思い込みを克服するための習慣として一番効果的だったと感じられるのはシナリオプランニングという手法だ。
シナリオプランニングはロイヤルダッチシェルが石油危機をうまく乗り切った際に活躍した手法だ。
様々なMBA的フレームワークの中では比較的マイナーな存在で、ビジネスの現場ではそれほど活用されていないと思う。
とにかく全パターンを想定してみる
シナリオプランニングは、多少なりとも起こりうる未来の姿を「シナリオ」としてすべて洗いだそう、というものだ。
結果に影響を与える大きな原因を見出して、その 原因の事象が別の展開になるときのことを徹底的に詳しく想定する。
結果論的に分かりやすい例としては、原油価格が異常に高くなったときの航空業界の業績悪化と燃油サーチャージ導入などがある。あとから見れば「まあそうだ」と言えるものが、意外と事前に検討されているケースは少ない。
一歩進めて原油の供給が止まった場合も想定できるだろう。
作ってみると意外に否定できない過激シナリオ
シナリオ分析は、やってみた人にしかその効果は実感できない。
たいていの人は別の展開を考えることじたいをバカバカしく感じることだろう。
しかし、実際に分析していざ資料ができあがってみると、自分だけでなく関係者も別シナリオの現実性に目を向けざるを得なくなることがほとんどだ。
過激な前提条件をおいたシナリオでさえ、それを引き起こすような兆候を挙げることができるから「あながち否定できない」という結論にいたる。
思考節約の限界を見える化するシナリオプランニング手法
当然のように思えるビジネスや社会は、かなり弱い前提の上に成り立っている。
シナリオプランニングを活用すると、僕らが いかに現在の状況が変わらないことを暗黙のうちにあてにしているか を見える化できる。
シナリオを立案する過程で、要因の構造に着目できるようになり、起こりうる事象のパターン出しも身についてくる。
このような思考パターンを獲得することで、一面的な見方にハマることが少なくなる。
シナリオを読む力をさらに強化していけば、どのような展開になるか見通せないような状況にも対処できるようになるだろう。
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Photo by Davide Restivo