ビジネス立ち上げの迷いどころと解き方

2013/05/23

新規ビジネス、ベンチャーの立ち上げを牽引するときにぶち当たる組織問題を究極まで簡単化すると、以下のA, Bを両立させるジレンマになる。

A) 自分がいま事業に関わっている意義は自分ができることをやる点にある
→他のメンバーが実行できない状態がある

B) 事業や企業は自分よりも長く生き延びるべきもの。だから、つねに自分がいない状況を想定する
→他のメンバーで実行できる状態を作る

「A→B」をクリアすることが事業価値の創出だと思う。かつ、なるべく短期間で達成した方が良い。

リーダーの機能不全の3類型

いずれか一方しか満たしていない場合には問題が起こる。

Aしか達成できていない場合は「永遠のワンマンタイプ」となる。
いつまでたっても、自分にしかできない仕事に囲まれていて、事業の成長=自分の消耗となり、自分の引退とともに一代記もまた幕を閉じる。

Bしか達成できていない場合は「差別化失敗タイプ」となる。
誰にでもできる仕事ばかりを分担して組織化した場合、自分にしかできない参入障壁を築くプロセスをすっ飛ばすことになり、ジリ貧型になりがちだ。

さらには、AもBも満たしていない場合、「丸投げ内紛タイプ」となる。
形上のチームを持ったとしても、参入障壁を築くこともなく、チームワークの立ち上げもしないとなると、日々の仕事からサイコロを振ったかのようなランダムな結果が生まれる。

現実は複雑

ここまでの3つの類型は簡略化したもので、全てがこの通りではない(絵に描いたようにそのものズバリな例もたまに見かけるのが笑えないが…)。

じっさいには、すべての仕事が超人技ということはないので、ハイブリッドな現象が起こる。

複雑な仕事をどのように分担するか、組織をどう作るかは頭の使いどころだ。

立ち上げの実際

まず、A→Bを成立させるべきプロセスを切り出すことが必要だ。

事業の多くのプロセスは、そもそもAに該当しない。
丁寧にやれば誰にでもできる仕事だ。

誰にでもできる仕事は極力最初から現場で回るようにすべきだ。

すべてを教えるような切り分けにしてしまうと、組織的思考停止が生まれやすい。

逆に、自分にしかできない仕事は当面は自ら牽引すべきプロセスとなる。

コアビジネスや本業に集中することの重要性と表裏一体といえる。

ノウハウが確立していくにつれ、ブレークダウンして手順を標準化することで、伝承や分業を確立していく。

この過程で、持続的な差別化が生まれ、仕事のアウトプットの品質が安定してくれば立ち上げは一段落といったところだ。

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