PC向けのARMが想像に反してまったく進展しなかったため、2025年現在、AMDx64デスクトップPCの費用対効果が最右翼に見える。
デスクトップPCを最大限使うには、Wake on LANが欲しい。
Wake on LANが動作しない理由
現時点で、どうやらIPv6ネットワークではWake on LANを機能させる一般的な方法がない。
マジックパケットのフォーマットについては製品ごとの解釈の違いはおそらくないため、クライアント起因のトラブルは少ない。多くの場合、パケット配送のフィルタリングでリクエストが破棄されて失敗する。
- オリジナルのWOLはイーサネットへのブロードキャストを想定しており、IP指定で動作する機能でない
- 素朴にブロードキャストする方式のイーサネットが主流だったのははるか昔のことだ。パケットの伝播はとうにルーターやスイッチの制御しだいになっている
- 多くのネットワークカードがUDPポート9へのIPv4も受け付けるらしく、ルーターが主体的にIPv4ベースのマジックパケットを送る機能がある
- IPv6のマジックパケットをどう扱うかは、おそらく今のところコンセンサスがない
互換性だけを考えるならIPv6のUDPパケットで動作する方式がストレートで、一部動作するネットワークカードもあるようだ。しかし、ルーターが長らくこの方式をサポートしていない。
IPv6向けのWOL方式は白紙状態で、規格策定したいメーカーがいない状況が続いているということだろう。IPv6はあらゆるものをネットワーク経由で操作する目的の基礎技術だが、電源を入れることすら目処が立っていない。
IPv4のWOLリクエストを発行するLAN機器が必要
IPv6ネットワーク向けの標準実装が普及するまでは、WOLリクエスト発行は既存のIPv4向け機能を利用するより他ない。
よって、
- IPv6をリッスンするHTTPサーバーなどで、外部からWOLの要求を受け付ける
- IPv4ベースのマジックパケットをLANに送る
という2つの機能を持つアプライアンスをクラフトする必要があるだろう。同様の商品も出てくるだろうが、WOL機能だけを提供している確証を得にくい点で採用しづらい。
過渡期のIPv6ネットワークはIPv4とのデュアルスタックだから、動作環境による障害はあまりないはずだ。
ハードは、Linuxの開発ツールを利用できるRaspberryPiが適役だろう。
IPv6ではない問題
前述のアプライアンスの想定では、WOLが安定動作するか否かは、おおむねIPv6とは関係がない。 IPv4のWOLリクエスト機能が適切に動作するよう構築する。
じっさいにはLAN内でパケットが破棄されないようなネットワーク設定が必要になる。また、起動対象の個々の機器のOSやBIOS設定の影響も受ける。
これらは古くから存在する手間であり、何も変わっていないし、とくに手軽になることもないだろう。マジックパケット送信の実装は既存のライブラリを流用できるものの、トラブルはそれ以外の点に起因する。
なお、IPv4 over IPv6については検討していない。リクエストを受け付けることを想定したプロトコルではないため、ポート制限によりネットワーク構成が意図どおりにならないだろう。